打ち合わせにあたって。

結城浩さんの4月11日の日記より
[結] 2006年4月 - 結城浩の日記

…というような日記を書くと、読者さんから「結城さんはどんな風にして打ち合わせの準備をするのですか?」という質問がやってくる。そこで、先回りしてリンクを張っておきましょう。

に示されていた、結城浩さんの打ち合わせ関連エントリ。色々と色々な所に響いたので抜粋&メモ。
できたら抜粋を読むのでは無く、直接エントリを読んだ方が有益かと思われます。

打ち合わせというもの

... (略) ... ともあれ、前もって考えた上で打ち合わせに臨む。打ち合わせで大事なのは、自分が何を言うかではなく、相手が何を言うか、である。自分の情報を開示しつつ、相手の意向をくみ取る。そしてその上で、両者にとってもっともハッピーな方向に話を進めていく。 ... (略) ...
時には細かい点に注目し、時には全体の統一感を重要視し、おかしな方向に行かないように注意する。雑談を交えつつ、そういう打ち合わせが進むと、何だかとっても充実した時間を過ごせる。 ... (略) ...
そして、とても大事なことは、互いに信頼しつつ率直に話をすることだと思う。... (略) ...

気になった所は太字にしました。「とても大事な事は、互いに信頼しつつ率直に話をする事だと思う。」打ち合わせ、と言っても対話の一形態だから一方通行ではダメ。相手の主張ももちろんあるし、自分の主張ももちろんある。立場に上下がある場合、上の主張で動けばいいや、って事に得てしてなってしまう事があるけど、そうならないようにこちらの言いたい事も練り込んでいく事が大事。

研究ユニット自体は、教授、僕、同僚、の様に小さいけど、コミュニケーション計る相手はデータを出してくれるヒト、患者さん、テクニシャンのヒト、事務方、裏方、マネージャと、多岐にわたる。こうした時に、ヒトが増えれば増えるほど、コミュニケーションは難しくなる。相手の都合も思想も色々あるから、何ともかんともし難くなる事も色々あるけど、とりあえずは相手を「信頼しつつ率直に話をする事」。分からない事は聞くこと。言葉をスタート地点として良好な関係を築いていく事、かな。

神さまからのメッセージ

書き出しにくいけど、「我が身を振り返る姿勢」とかそう言うの。

仕事をするときの基本原則

... (略) ... あなたは「仕事をするときの基本原則」を持っているだろうか。
... (略) ... でも、実は大切な原則はたった1つだ。たった一つの原則からほとんどすべての方法論が生まれてくる。しかも、その原則は一言で表現することができる。

そう、「愛」である。

とはいっても、「愛」ではあまりにも抽象的過ぎるから、もう少し具体的な表現として展開してやる必要があるだろう。たとえばこうだ。

「相手のことを考える」

... (略) ... 多くの場合「相手のことを考える」ためには、普段から相手のことを考えていなくてはならない。よく周りを観察していなければならない。また「相手のことを考える」ためには、想像力と客観性が必要だ。

... (略) ... 相手のことをかんがえて行動しようとすると、何かにぶつかることがある。たいていは「自分」にぶつかる。自分の思惑、自分の利益、自分が守りたい自分の心、自分の怠惰…そういう自分にぶつかって、大きな障害となるのだ。私たちは完全な人間ではないから、完全に相手のことだけを考えて行動することはできない。でも、自分をごまかしてはいけない。理由をでっちあげるのではなく、「本来はこうすべきだが、今回はこうしよう。これは自分の弱さかもしれないが、このラインが自分の現在の力量だ」といった判断を下すことは大事だ、と思う。そういう「見極め」をやっていると、不思議なことに、他の人の動向や気持ちがよりよくわかってくる。 ... (略) ...

「相手のことを考える」こと。これは仕事をするとき、と言うよりも、生きていく上での基本原則かとは思うけど。
打ち合わせに話をしぼると。例えばデータひとつ見せる時に、このデータからどう考えたか、それはどうして考えたか、そしてだから何なのか、ってのを伝えたい。それをどうしたら分かりやすい図面としてまとめられるかな。情報の過剰な詰め込みは、個々の情報の価値を下げ、うまく伝わらなくなってしまう。情報の出し惜しみは「話にならない」。相手の立場、もってる情報、お互いの共通認識を想像して、作品を作る。そしてそれを元にコミュニケーションを計る。

自分がもってるデータは自分が一番分かる。(ようになる/なれ、少なくとも。) それを元に話をする以上、自分と相手の間にはもってる情報の格差が生じる。その格差に無自覚に自分の言いたいことを伝えようとしても伝わらないし、その格差を無視して相手から情報を引き出そうとしても「それはとっくに通り過ぎた道だ」なんてことになってしまいかねない。相手のことを考えて、その格差を埋めるように情報を提供する。それを立脚点として、良好な対話の構築を計る。対話を通じて、互いに有益な情報を得る。互いに有益な関係を作る。相手のことを考えることは、まわりまわって自分のためにもなるのだ。