メモ。(後で書く)

2006.11.25 「博士と派遣とベンチャーと」 (via 博士派遣社員 : 5号館を出て)

博士課程修了者に対して派遣社員になることを大学・研究機関が勧めているということになったらどうなるでしょうか?派遣社員個々人については、派遣社員の報酬が低く、社会的な地位が低いことは周知のことです。今後も社会的な地位が上がることはないでしょう。また、社会の中での派遣業者という視点でみたときには、社会全体で人件費の節約による余剰資金は生み出したかもしれませんが、新たな富を生み出す仕組みでないことは自明です。国立大学であれば、多額の税金が校費だけでなく、さまざまな研究資金という形で博士課程の学生の研鑽のために流れ込んでいます(どこまでを研究費とみてどこまでを教育費とみるのかという問題はありますが)。
彼等を教育した大学の教官としては、彼等を派遣業者にやってしまうというのは、自らの教育というものが、お金をかけたにもかかわらずその程度の価値しか与えられなかったと認めるようなものではないのかと感じてしまいます。最近は、派遣社員ポスドクの代替要員のような形で大学の研究に加わらせるケースもあるようですが、それはあくまでも研究者ではなく、どこまで行っても形式的にはお手伝いに過ぎません。そのような仕事に就くことをそそのかすというのは、学生のキャリア形成を潰すことにもつながっておりますし、後に続く後輩たちに対して、「先輩は優秀だったけれど、派遣社員になってどこまでもうだつが上がらない」と思わせ、優秀な人間ほど博士課程に行くことをためらわせる結果となるでしょう。これは、個々の学生を裏切る結果となるだけではなく、新たな富を生み出して欲しいという社会の要請をも裏切る結果となってしまいます。

(太字は著者による)

自分を殺すのはなにか。未来に希望を持てないという思いと、状況を変えることができないという無力の認識だろう。そしてそれを絶望と呼ぶ。