博士がひゃくにんいるむら

http://www.geocities.jp/dondokodon41412002/index.html:title創作童話「博士が100にんいるむら」
あははははー。はぁ……。オチのページに行って、たまらず笑ってしまった。笑うしかなかった。こうなる人もいるんだなーとはちょっと思えない。こうなるかも…と考えたら、笑ってごまかすしかなかった。知っている方を思い出すと、行方不明のヒトとか、ひきこもってしまったヒトのこととか、お隠れになってしまったヒトの事とかが、ちらと頭をかすめる。正直な話し、この数字はけっこう実感のもてる数字な気がする。

作者不詳でいつ消えるかも分からない、とか、色々な意味を込めて、ここに転載させていただく。半分以上てかほとんど引用させてもらう事になるので、一応「続きを読む」にしますが、まずかったら、どうか。

p.1

博士は大学院博士課程を修了して、博士号を得た人たちです。日本の知的エリートと行って過言ではありません。
科学技術立国日本を支える大きな柱です。
博士達はここ数年11000人あまり産まれています。
おぎゃー

Yomiuri ON-LINEによると、

博士号を取得したものの、定職に就けない「ポストドクター」(ポスドク)が1万2500人に達した事が、文部科学省が初めて実施した実態調査で明らかになった。
2003年度は約1万200人で、1年間で約2300人も増えている。
年齢別では約8%が40歳以上で“高齢化”が進んでいる。大学助手など正規の就職先が見つからず、空席待ちが長引いていると見られる。さらに、社会保険の加入状況から推定すると、常勤研究者並みの待遇のポスドクは半数程度しかいないと見られ、経済的に苦しい状態も裏付けられた。

との事なので、生まれる数はもっと多いのかな?

p.2

大学という巣を飛び立つ小鳥たち(博士)がどういったお仕事に就くのでしょうか?
きっと頭がいい人達なので、立派なお仕事をして、みんなに尊敬されて、いっぱいお給料をもらってるに違いありません。
日本の科学を支える立派な柱ですからー

立派なお仕事をして、みんなに尊敬されて、いっぱいお給料をもらってるに違いありません。日本の科学を支える立派な柱ですからー

p.3

ここでは毎年産まれる博士が100人いる村の話をします。
ずばり、「博士が百人いる村」です。
場所は日本の中央付近、富士山が見える風光明媚な場所です。

富士山が見える風光明媚な場所にあって、高学歴者の集まる村……サティ○ン?

p.4

博士って、英語で言うとドクターだけど、お医者さんなの?
お医者さんのドクターとは違うのです。
お医者さんの中でも博士の人とそうじゃない人がいるのです。
100人の博士が産まれたら、16人がお医者さんです。

この人達は名実ともにエリートです。みんなに尊敬されて社会的地位も高く、もちろんお給料もいっぱいもらえます。
幸せになれる素材として申し分ありません。

勝ち組ってヤツですね。幸せになれる素材として申し分ないのは100人中6人。残りは94人。

p.5

博士って、大学の先生になれるのかな?
頭が良いからきっと大学の先生になれるんだよね!?
100人の博士が産まれたら、14人が大学の先生です。あらあら、意外に少ないのね?
この人達は卒業とともに大学の先生になったエリートのひよこさん達です。ぴよぴよ
みんなずっと大学にいてそのうち教授になれるのかな?
いえいえ、そうではありません。
たいていの人はまず助手と言って、授業は受け持たないけど、研究室の運営などの雑用と自分の研究をする人になります。最近は助手も定職じゃなくて、2年間で首になっちゃうのですよー
あら、大変ねー
この人達は前途多難ですが教授への道へ一歩進んでいる人たちです。
忙しいけど幸せになれそうです。
がんばれー

p.6

博士って、研究者になれるのかな?
白衣を着て、ばりばり実験するのかな?
100人の博士が産まれたら、20人がポスドクです。
ポスドクは大学の先生じゃなくて、お金で雇われる研究者です。
実験をばりばりするのが仕事です。
ポスドクさん達は教授になれる可能性を秘めたエリートの卵です。
ポスドクはたいてい一年契約で最長3−5年契約の一時的な仕事です。定職じゃないのねー
たいへんねー
この人達は前途多難です。
助手の人たちは青田刈りされていますが、ポスドクさん達は刈り残しの敗残者集団と呼ばれていますー
頑張って生き残るんだよー
幸せになれるかもしれないからー

助手の人たちは青田刈りされていますが、ポスドクさん達は刈り残しの敗残者集団。……。誰だそんなこというの。あ…。

p.7

博士って、サラリーマンになるのかな?
会社で実験するのかな?
100人の博士が生まれたら、8人が会社に勤めて11人が公務員です。
これまでに培ってきた科学的知識を社会に役立てるのです。
公務員なら一生安泰。
会社員もだいたい大丈夫。
普通の人に戻れた幸せな人たちです。
お幸せにー

普通の人に戻れた幸せな人たち、か。

p.8

博士って、ずっと実験するヒトなのかな?
それとも他の仕事もするのかな?

100人の博士が生まれたら、7人が他の分野に行きます。
研究職に見切りをつけたのでしょうか?

でも、それも良いんです。自分の人生ですから。
きっと幸せになれますよー

きっと幸せになれますよ。

p.9

博士って、ちゃんと働いているのかな?
ちゃんと世間と美味くやっていけるのかな?

100人の博士が生まれたら、16人が無職です。
深くて広い科学的知識と研究を進めるパワー。
ひとたび動けば実験をし、また論文を作成する日本の知的エリートです。
が、無職です。
大学の先生にもなれず、ポスドク研究員にもなれず、会社員にも公務員にもなれず、他の分野に転身する事も叶わない人たちです。
この人達は、普通の人にも戻れないどうしようもない人たちです。
くずです。社会のお荷物です。
何故こんな事になってしまったのか?
と、遠いあの日を振り返って毎晩枕を涙でぬらす人たちです。
生きろー
生きるんだー
生きてれば幸せになれる可能性をわずかに残しているからー
(約束できないけれどー)

「何故こんな事になってしまったのか?と、遠いあの日を振り返って毎晩枕を涙でぬらす人たちです。」
敗色濃厚。

p.10-11

100人のうち、92人の進路が分かりました。
でも、8人の人たちがまだ残っています。
この人達はどうなってるのでしょうか?

100人の博士が生まれたら8人が行方不明か死亡しています。
博士を持ちながら、明日への希望を失ったのです。
さようならさようなら。
僕たちは消えます。
世間から消えます。
この辛い世の中から消えます。
さようならさような…